北村「今日はよろしくお願いします」
岩倉「こちらこそ、お手柔らかに」
北村「先日、パリのメゾン・エ・オブジェに出品されてましたが、如何でしたか?」
岩倉「ヨーロッパでの出品は初めてでしたが、たくさんの方に非常に関心を持っていただき、それなりに高い評価を頂けたと思います。
来場者の方にはファッション関係の方もたくさんいらっしゃいましたが、非常に興味深く見いっておられたのが印象的でしたね。
今回は、リビングルーム、ダイニングルームの家具が中心でしたが、日本で発表した前作の時は値段の事を聞かれることが多かったのですが、今回はそういった事も有りませんでした。
デザインや、クオリティを認めて頂けたのだと思っています。」
北村「それはすごい事ですね。ヨーロッパの最新のインテリアトレンドはどんな傾向でしたか?」
岩倉「そうですね。特別にこれというものは正直ありませんでした。不況の影響でしょうか。しいて言えば、今までの欧米スタイルが少しアジアに影響されたスタイルに変わっていくような
感じはしましたね。これからは、ヨーロッパの西洋文化とアジアの東洋文化がうまく取り入れられたデザインが新しいスタイルを切り開くと感じました。」


北村「なるほど、そもそも岩倉さんが家具のデザインを始めたのはどうしてなんですか?」
岩倉「私は今年で62歳になるのですが、ちょうど40年前、祖父の知り合いの小泉庄吉先生にバウハウスの基礎を教わりました。祖父は、絵を描くことが好きだった私に、なにかやらせてみようと思ったんでしょうね。
そして、地元のデザイン学校である郡山デザインセンターでデザインを2年間学びました。
その後、日本で最初のインテリアデザイン専門学校、ICSカッレジオブアーツで、インテリアを2年に渡って学び、卒業後は、現在武蔵野美術大学の名誉教授をされている島崎信先生のもとで5年間、家具を学びました。
結局、9年も勉強してたというわけです(笑)
そして決定的だったのは、北欧のインテリアを日本で広めたきっかけにもなった島崎信先生と「トーネット150年の歴史展」という企画を担当することになり、まだ当時「インテリアデザイナー」という職業もありませんでしたが、これで生活していこうと決めましたね。」
北村「そう言われてみればそうですね。デザイナーの仕事は、アウトプットの仕事だと思うのですが、インプットの部分、つまり感性を磨くのにどんな事をされているのですか?」
岩倉「良い質問ですね。でも実は特に無いんです。しいて言えば自然の中にいることが多いですね。”光”と”影”が創りだす陰影とか。パリの路地裏なんかも、カメラを持っていたら撮ったりしますし、スケッチしたりもしますよ。
そういったものに触れているとき、感性が磨かれていると思いますね。もっといえば、そこに静けさがあれば、なお良い。
北村「自然からですか?岩倉さんらしいですね。それと前から考えてたのですが、欧米と比べて日本のインテリア文化が遅れているのは何故なんでしょうか?」
岩倉「文化の違いはいろいろありますが、重要なのはインテリアに対する考えの問題でしょうね。戦後、1に仕事、2に生活、3に愛情、と生活の豊かさを後回しにされてきました。住宅に意識がいかなかったんですね。
これからは違います。不況ということもあり、外食するよりも家でご飯を作って過ごす時間が増えてきました。そうなってくれば、もっと自分の家を快適にしたいと考えるのは自然なことだと思います。
レストランで美味しい食事をするのも良いですが、ゆったりくつろげるソファにお金を使ってもバチはあたりません。
まだまだ時間はかかるでしょうが、ファッション文化や食文化が繁栄したのも初めはそうだった。日本はまさにこれからなんです。」


北村「では最後に。弊社でオリジナルデザインの家具を企画してデザインや製作監修にも関わって頂いたのですが、もともと小売店の依頼を受けることは少ないと聞きましたが?」
岩倉「小売店からの依頼はこれまでもありました。しかし、なかなか難しくて実現出来ませんでした。予算やスケジュール、品質管理が上手くいかないからです。
ただ今回は驚くほどスムーズにいきましたし、自分で言うのもなんですが、本当に「良い家具」が完成したと思います。
今回、成功した一番の理由は、リビングハウスさんと私のイメージがぴったり合っていたからだと思います。
リビングハウスさんには、これからも「良い家具」をたくさん売って欲しいと思ってます。
「良い家具」とは、価格の高い家具ではなく、価値の高い家具のこと。
お金をかければいいってもんじゃない。
たくさんの方に、この家具を知って頂きたいですね。」
北村「有難うございます。これからも日本のインテリア文化のために、良い家具をデザインしてください。本日は有難うございました。」
岩倉「有難うございました。」
