映画とインテリアブログ 「第25作目」

今年も暑が夏いですね!
ニュースでは連続真夏日を何十年かぶりに更新したと言っていましたが、
この先、昔のように「まだ耐えられる夏」再び、来るような予感がしません。。。
数年の内にこの記録は更新される事でしょう(汗)

しかしそのような酷暑だからこそエアコンという文明の恩恵が身に沁みます。
エアコンが適度に効いた部屋でリラックスして観るDVD鑑賞ほど
チルアウト出来る時間はありません!!
そんな至福の時間の中でも最近のお気に入りは「男はつらいよ」を観ている時!!
最高に幸せを感じる2時間です(笑)

男はつらいよ
(松坂慶子、めちゃ綺麗でしたー)

しかし、沢山、映画を観ていてもこの場でインテリアと紐付けて紹介出来る映画は
ごくごく一部です(そのシバリがなければ紹介した映画は山ほどあるのですw)
そのような高い(?)ハードルを超えてきた作品を今回は紹介したいと思います。

「鑑定士と顔のない依頼人」

監督 ジュゼッペ トルナトーレ

「ニュー・シネマ・パラダイス」(生涯ベスト!)「海の上のピアニスト」などの
名作を送り出してきたイタリアの名匠の最新作。

膨大な美術品の知識と真贋を見分ける能力を持ったジェフリー ラッシュ(パイレーツ・オブ・カビリアンのバルボッサ船長です)演じる初老の鑑定人が主人公の映画です。

鑑定士と顔のない依頼人

この映画の特筆すべき点は何と言っても「美術」
ストーリーでの主な舞台であるヴィラ(ヨーロッパ上流階級のカントリーハウスです)
に設置された家具や調度品は作り物もあるとは思いますが、
重厚且つ繊細な意匠の数々は単なるインテリアと一括りするには
余りにも重層でヨーロッパの文化の奥深さを感じさせます。
一流の美術、骨董品を扱うという設定上、
セット、衣装に至るまで手を抜くわけにはイカンというスタッフの気概の賜物でしょう。

ヴィラ

そのような「一級品の鑑定士」という非常に専門的な分野は言い換えれば、
主人公の限定的な「視野」(世界)でもあります。
その特殊なスキルと引き換えに得たもの、失ったものとは?という問いかけを
洗練された映像、演技、美術で観る者に投げかけてきます。

初老の天才的な鑑定士と広場恐怖症のヒロイン
というかなり特殊な設定ではありますが、意外とこの監督が表現したかったのは
「価値の有る無しは個人に帰す」
という普遍的なテーマだと思います。

インテリアを選ぶ際、選択肢は無数に存在します(予算を無視すれば際限なくw)
モダン?オーガニック?
有名デザイナーの新作?ヴィンテージ・アンティーク?
和テイスト?北欧風?
その選択肢が多ければ多いほど、そのChoiceの道のりは悩ましく、
多くの時間と労力を費やすことでしょう。

しかし、最終的に自分の直感を信じて選んだ物には
その人だけに見える「価値」が生まれるのです。
「価値」とは「愛着」です。
「愛着」があれば他人から見れば価値の無いものでもその人にとっては
掛け替えのない宝物です。

この主人公の顛末は一見すると悲劇かも知れません。
しかし、彼にとっては「愛着」のある何かが残ったようにも見え、深い余韻を残します。
(あまり、ここらへんを詳しく書くとネタバレに近くなってしまうので控えます。。。)

人それぞれに価値を置く基準が違うからこそ、この世界は豊かで在り続けるのだと
手痛く教えてくれる映画でした。

上質なサスペンスであり、ラブストーリーでもある正に「大人の映画」です。
鑑賞後、遠い目で愛を語る事でしょう(笑)

「マッドマックス」のような映画も最高ですが、たまにはこのような映画も観て
実年齢と精神年齢の差を埋める努力をしないといけませんね(笑)