バイヤーの考え方

バイヤーの考え方"
バイヤー大橋孝一のインタビューを通して、リビングハウスの商品セレクトに対する考え方をご紹介します。また「コーディネート力の磨き方」「いい家具とは?」などインテリアにご興味のある方は必見のコンテンツです。

インタビュー

-現在、家具インテリアバイヤー歴はどのくらいなのでしょうか?

このインテリア業界に入って、15年、そしてバイヤーとなって約10年になります。もともとはこの業界には店舗の販売スタッフではなく、対住宅関連企業のコントラクト部門(住宅メーカーや不動産デベロッパーとの事業)としてリビングハウスに入社しました。その当時は阪神大震災もあったので、住宅建築の需要も高まっており、マンションのモデルルームのインテリアなどをコーディネート提案することが最初の仕事でした。当初はインテリアコーディネーターの方の下について色々学ばせていただきました。家具インテリアを知れば知るほど、どんどんその魅力に引き込まれ、「近い将来はバイヤーになりたい」とうっすら考え始め、そして、5年後に社長に直談判し、晴れてバイヤーになることができました。

-そもそもなぜ家具インテリアに興味を持ったのでしょうか?

母が建築関係の仕事をしており、建築部材の輸入などをしていました。そして、自分の家の家具をリニューアルするときに、アメリカから直接家具をコンテナで取り寄せていました。私は当時アパレル業界で働いていましたが、初めて見る洋風の家具にとても興味を惹かれ、家具インテリアをより深く知ろうというきっかけになりました。その家の家具はコテコテのアメリカンクラシックでしたが(笑)。また、そのころ家にインテリアコーディネーターの方が出入りするようになって「こんな仕事もあるんだ〜」と仕事という意識で家具インテリアを眺めるきっかけになりました。本当に母親のおかげです。

-家具インテリアに関してはまだまだ知識がないという方がいらっしゃいますが、そのような方はどのようにインテリアに関する知識やコーディネート力などを高めることができるのでしょうか?

まずは、インテリアは「好き」から始めればいいのではないでしょうか。「好き」というシンプルな基準で大事なものを選び、暮らしの中で丁寧に使ったり、飾ったりしながらインテリアコーディネートを自由に楽しむことが「自分らしさ」を表現する一番の近道です。そのために、あえていくつかポイントをいくつかあげるとすると・・・

一つ目は家に中や身の回りにある、大好きなものに目を向けることですね。衣食住の生活の3大要素の中のどれでも構わないと思うのです。たとえば、毎日食べるコーンフレークや牛乳のパッケージでも好きなデザインとか色とかがこだわりってありませんか。電化製品でも車やバイクでもマグカップでも構いません。ブランドやプロダクトなど人は必ず生活の中に「こだわっているもの」というのがあるはずなんです。それらと一緒に長い時間を「暮らし」ているわけですよね。それをまずは突き詰めてみることが大切です。自分は無趣味だと思っていらっしゃる方でも衣食住を見直してみると必ずあるはずです。

二つ目はそれらのお気に入りたちに、どんな共通点があるか、よく見直してみることです。カラーや素材感、そしてテイストなどの共通点があると思います。じっくり考えてみると、実は和的なものが好きだったとか、四角いものが好きだというものが見えてきます。そして、それらを置いたり、飾ったりするためには和な家具をコーディネートしたほうがよいとか、カラフルなものを置いた方が映えるとか小さなものから広げて考えていくと良いと思います。身の周りの密着したものからスタートするとよいですね。例え、「モダンの家具コーディネート」がかっこよくて、家をそのようにしたとしても自分の生活と密着したものでなければ、それは取り繕ったインテリアでしかないと思うのです。

三つ目に大切なのは、暮らしに季節感を取り入れることだと思います。欧米人と違い、日本人は季節によってインテリアを楽しむということが苦手だと思います。一度、家具を入れてしまうと、ずっとそのまま放置という方が多いですよね。例えば、一戸建ての方でしたら、家具の次はガーデニングを楽しんでみるとか、マンションにお住まいの方でもテラスにタイルを張ってみるとか、外でコーヒーを飲んだりできるような家具を置いてみるとか。カーテンでもいいですよね。冬は厚手のカーテンにしたり、暑い夏は体感温度を下げるカーテンにするとか季節によって様々なことができると思いますので、そんなことにトライしていくことが大切だと思います。

四つ目は好きなものは、大切に使い続けるということです。これまでお話しした流れで購入した家具インテリアというのは自分の生活と密着しているはずなので、1点や2点は必ず使い続けたいものというのが出てくるのです。それはいくら時代が変わっても、流行が変わっても自分の好きな物から派生している家具なので使い続けることが可能ですよね。そして、長い時間使ったものは愛着が湧きますから、気づくと家具インテリアが大好きになっていると思います。家具や雑貨は美術品ではなく実用品です。使う人のスタイルに合った美しさと、機能性を兼ね備えた「用の美」であれば最高です。不満だけれど間に合わせの家具を買うくらいなら、本当に気に入ったものが見つかるまで探し続けることが大事ですし、その姿勢が暮らしの中の美意識や審美眼を養ってくれるのです。そんなお気に入りは、一生使いたくなりますよね。そんな私も、本気で気に入って購入した椅子は引越しを繰り返した今でも大事に使い続けています。

-「ナチュラル」「モダン」「カントリー」「クラシック」「アジアン」などのカテゴリがありますが、リビングハウスに来店されるお客様はそのようなカテゴリについてご存知なものでしょうか?

最近は何となくはご理解されていることと思いますが、まだまだ曖昧に感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか?だからこそ、自分の身の回りの小さなものから発想をしていただく方がわかりやすいと思います。逆に我々がショップにいらっしゃったお客様に接客をさせていただく際も趣味をお伺いすることが多いですね。そこからのほうが発想しやすいのです。イタリアの自転車がお好きな方には、イタリアンモダンな家具をご提案させていただくと喜んでいただくことが多いですね。「ナチュラル」とか「モダン」というのは後付けの部分が多いかもしれません。

-家具バイヤーから見て、「いい家具」というのはどういうものですか?

それは非常に難しいですね。「バイヤー」と名乗ってしまった瞬間に、会社の社員ですから会社の方針に合わせなければいけないし、数字も考えなきゃいけないし、「好き」とは離れてしまう部分もありますからね。ですからバイヤー目線で「いい家具」とは非常に難しいですね(笑)。

いずれにせよ、ファッションと同じように、インテリアは自分の感性にフィットしていることと、調和の取れたバランスが重要です。あるインテリア雑誌にこんなフレーズが書いてあり、大変共感したのを覚えています。「好きこそ部屋の上手なれ」これこそが、インテリアコーディネートの極意であると今の私はそう思います。