映画とインテリアブログ 「第38作目」

秋も半ばを過ぎ、冬の気配を朝晩に少し感じるようになりました。
リクルートスーツの就活生も夏に比べると幾分、余裕があるように見えます。
先日、そんな就活生の人間模様を描いた映画 「何者」を観てきました。

何者

原作は、「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウ。
「桐島~」に続く二作目の映画化です。
「桐島~」も各方面で絶賛される実写化の成功例でしたが、
この「何者」も公開後、そのシンパシーを刺激されまくる内容で話題になっています。
私自身も全く観る予定に入れていなかった作品でしたが、
周りの盛り上がりに後押しされて一人、レイトショーで鑑賞した次第です。

就活というモラトリアムのギリギリの境界線で悩める若者達の青春ドラマとも言えますが、
この40歳を越えたおじさんにもグッとくる色々な感情を揺さぶられる映画でした。

映画の中で非常に重要な演出装置になっているのが、「Twitter」
今は「Facebook」「LINE」「Instagram」と
SNSが生活の一部になっていると言っても過言ではない時代です。
その恩恵で気軽に自分発信が出来る環境にいつつ、
就活という社会に自己を非常にシビアに査定される状況に置かれる
「承認」まみれの現代の就活生は本当に大変だと思います。

何者

私自身はそれほど、ガッツリと就活をした経験がない方で、
SNSなんて無い時代の世代ですが、その当時の寄る辺無さを
ほじくり返されるような苦いフラッシュバックを感じずにはいられませんでした(笑)

就活生に限らず、「承認欲求」は社会に身を置く立場であれば皆持っている
持て余しがちな感情だからこそ、この映画が世代を超えて共感を呼び起こすのでしょうね。

この作品の監督 三浦 大輔氏は舞台出身なので、劇中でもモロ舞台的演出が
変化球的に使われていますが、登場人物の部屋の作り込みも舞台的で面白かったです。

何者

何者

何者

何者

登場人物達の住む部屋は東京 三鷹あたりにある4階建ての古いマンションで
リノベーションが出来る物件という設定のようです。
学生らしさを出す為、あえて隙を残している感じがリアルですね。
間取りは同じでもそれぞれの部屋に登場人物の性格や嗜好が反映している作り込みに
なっているので、インテリアから登場人物の内面を読み解く面白さがあります。

正にインテリアは住む人を語るです。

あの頃を懐かしむようなノスタルジックな感情よりも、
苦労の反芻で悶絶する人が多いと思いますが、
サスペンス的要素もあって映画としてとても面白く、
「桐島~」がツボった人は間違いなくハマると思います。
今が旬の若手俳優が勢揃いで演技も本当に素晴らしかったです。
今年は本当に邦画の当たり年ですね。

この映画を観てから就活生を以前のように見られなくなりました(汗)
就活生、頑張れー!!おじさんも頑張る!!